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海のそばで殺された夢
先日、ラジオから山形県の民謡『最上川舟唄』が流れてきた。歌い手は今泉侃惇で、エンヤコラマーカセと高音でのびた合の手がきまっていた。なつかしくなって、本箱のすみから原田直之を見つけ、おなじ『最上川舟唄』を聞いた。当初、今泉侃惇さんのほうがいいなと思ったが、ひさしぶりに聞く原田直之は、やはりいい。民謡に洗練という言葉は不似合いだが、品がある。いま手元にある原田直之は掛け声も合の手もみなひとりで歌っていて、三味線、太鼓、尺八、鉦はない。バックをコロンビアオーケストラが担当していて、そのぶん土着性は薄まっているが安定感があり、忙しい都会の日常で聞くにはこれぐらいのほうが安心できて、軽い気分のまま楽に聞いていられる。(民謡はおなじものをそれぞれに聞分けてみると奥深いし、案外おもしろい)
甚句や盆唄はにがてだが、海唄、山唄、道唄、田唄はいい。つまり、ワークソングだ。『南部牛追唄(岩手)』『音戸の舟歌 (広島))』『貝殻節 (鳥取)』『小諸馬子唄(長野』)などを聞いていると背筋がピンとなってくる。フンドシをしめたような気分で凛ともする。そして、民謡は忘れかけていた大切なものを思い出させてくれる。

山崎ハコに『祭りの女』という木挽唄に近いイメージのいい曲があるが、原田直之の『秋の山唄 (宮城)』を聞いていると、地道な日々を田舎で過ごしている女が祭が近づくたび、長い黒髪をあげて「こんな粋なわたし見ないで」と都会に住んでいる同郷の男をふッとなじる。どちらの曲にも今は失われてゆく山の気配があって美しい。

そのような曲にまじって、ぼくのiPodにはトム・ウエイツやヴァン・モリソ、バルバラなどがごっちゃに入っているが、そこへ新たに、最近ちあきなおみの曲を118曲入れた。もちろん、この中には『夜へ急ぐ人』が入っているが、昨年だったかTVで放映されたときの映像には遠くおよばない。あんときのちあきなおみは舞台女優の白石加代子も真っ青なほど“怖い怖い”いい女振りを見せてくれていた。その人が死んでゆく男の耳元で優しく歌って聞かせてくれる『『海のそばで殺された夢』はなんとも凄い。
どこか懐かしさの漂うデジャヴな夢は、まるで、ジャングルの中で殺されてゆく側と殺す側の相対関係を描いたアンリ・ルソーの絵画のように・・・それは必然にも近い生き物たちのどうしょうもない関係の果ての恍惚感のようで、なんとも言いいようのない寂しい曲だ。作詞・作曲は友川かずき。逃げようのないすごい歌詞を書いてくれたものだ。ただただ、脱帽あるのみ・・・


| 音楽 | 00:02 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
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