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白足袋のようなMG1100

 今日は七草粥を食べる日であったが、正月に贅沢なご馳走を食べていなかったので粥は食べずに、ローズヒップ、レモングラス、オレンジ、レモンバーム、ペパーミント、シナモン、ローズフラワー、エルダーをブレンドしたハーブティーを飲んだ。パンは胡桃の入ったカンパーニュにクリームチーズを厚く塗ってその上にレタスをたっぷり載せて喰った。
 午後からは高田馬場に住んでいるFさんから初釜に招待されていたので伺った。すでに顏見知りのMさんとHさんがいらしていて、彼女等はお昼のお弁当を戴き、Fさんの薄茶点前が一席終った後だったが、ぼくはこの七年間ほとんど帛紗には触っていなかった。
 Fさんとは表千家のお稽古仲間として20年以上前ぐらいから見知りあっていたが、いまはマンションの一室に炉を切って暮らしている。彼女と親しくなった理由は、とても親切で面倒見がよく、社中の人からも信頼されていたこともあったが、某美術学校で事務をしていると聞かされて、ぼくも美術学校で講師をしていた関係から妙に気が合ったからだった。彼女はぼくが社中をやめてからもお稽古に通っていて、その後、お弟子さんを取ってもいいお許しをきちんと持っていたが、ぼくは世間に負けた〜ではなく、銭に負けてしまってお許しは「茶通箱」止まりとなっている。そして、いまではもう薄茶のお運びでさえままならない状態にまで落ちぶれ果ててしまっているが、お裏さんのHさんが二席目をやられているのをお次客の席で拝見しているうちに、すこしは記憶が甦った。裏千家のお作法は表千家の男手前にすこしばかり近いせいだろう…、次はぼくが亭主だ。
 飾りは長板一つ飾りだったが、いざやってみると、腰のねじりは浅くなってしまっているし、手首も硬くなってしまっていて茶筅が思うように動かず、二の腕の筋肉が緊張してしまった。お稽古をしていたころはどのように狭い空間であっても自在に動けたが、その空間も手狭となりっぱなしで、建水にぶつかったり、伸びるはずの所へ手がとどかなかったりと、お点前がこんなにも重労働だとはいまのいままで少しも気づかなかった。それでも彼女たちは、「やっぱり男点前はよいわよね、凛としていて」なんておだててくれる心優しい気配りを忘れないぼくのガールフレンドたちなのだ。
 最後は表千家不白流のMさんで、今日とおなじようにお正客をさせて戴きながら彼女のお点前を初めて拝見させて戴いたり飲ませて戴いたりしたのが今からちょうど十年ぐらい前のことだった。しなやかで、ふくよかで、ゆるゆるとしていて、清潔で、気高く、とても美味しくお茶を戴いたことがあった。が、今日はこちらにそれだけの準備も修練もなく、ただただ楽しく頂戴するばかりであったが、久しく飲む抹茶は美味かった。
 皆とは一足先に失礼したが、帰り道になっている夕暮れどきの新目白通りを歩いていたら、美しい車が腰を落したテールに大きな八角形の亀甲紋を残して去っていった。白いMG1100だった。年式は1960〜70年ぐらいだろうか、歳はとってはいるが颯爽としていて、ピカピカと群がって走っている若い国産車のなかにあって、ひときわ品がよかった。「ああ、やっぱりこの車は白が一番良く似合うな。オレもあんな風なジジイになりていや」と思った。薄くてコンパクトなMG1100のスタイルはどこかしらツアラー(ワゴン)車のようで、さっきまで一緒だった彼女たちが茶室で履いていた白足袋のような格好をしていた。そして、亀甲紋や亀甲紋のなかにMGと記された銀色のエンブレムは、さしずめ、ほっそりとした白い女足袋に輝く小鉤だなと思った。
| 日々是好日 | 17:57 | comments(2) | trackbacks(0) | pookmark |
コメント
「neko」さん、お返事ありがたう。おかげさまで、此の頁「白足袋のやうなMG1100」はいつでも上位のトップランキングで皆様に読まれてをります。お稽古事、一年に二度ぐらゐは軽く真似事を致しましやうか…。「み組」
| migumi | 2007/01/12 11:33 AM |
早速載せましたね。顔がない所が想像をかき立てて良いですね。
Mさんはパソコンなくて見ることできませんから、プリントしてお見せ致します。喜ぶことでしょう。
| neko | 2007/01/09 12:53 PM |
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