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銘鶯
銘 鶯(めいおう)
      シテ/風の反三郎 ワキ/松の精 所/山城の跡 時/丑三つ時



地   ガラスのような北風が吹き 松の針をふるわせた
    ヒューウールル フルート ヒューウールーラー

ワキ  「坊やはなぜに、二羽のうぐいす逃がしたの。 

シテ  「ああ・・・・あれは『引きかな口流』銘鶯の、名も福王丸と望月小丸
    だ。父とふたりで野へいでて、雪ふる朝に竹やぶの、枝にミカンを
    つき刺して、パッと捕らえて育てたの。

地   なのに なぜにどうして逃がしてしまった
    ヒューウールル フルート ヒューウールーラー

シテ  「おくれ毛悲しや母をまもって、父にさからい鳥の籠、
    鞠を蹴るようにころがして、二羽のうぐいす逃がしたの。

ワキ  「ふふふ、だから坊やは一人きり、山のお城の廃墟のなかで、
    こうして松に縛られて、母さん知らない姉さん知らない、
    風が吹くたび松の針、ちくちくちくちく落ちてきて、
    夜もどろどろ深くなり、天の星座も、クモの巣も、
    おでこのコブへとつつんと刺さる。坊やの心につんつん刺さる。
    だから坊やは怖かろに、松のお脂(やに)も臭かろに・・・・・・。

シテ  「なんのこれしき元気だよ。父さんいなくてかまわない。
    松のお乳はよい匂い、丸い満月、大鼓(おおつづみ)。
    どどどん、ぴかぴかゆかいだし、松葉のフルートおごそかだ。

地   ヒューウールル フルート ヒューウールーラー
    ヒューウールル フルート ヒィーホケーキョッ

ワキ  「逃げたうぐいす思いだす。父とふたりで野へいでて、
    肩をあんなによせあって、パッと捕らえた銘鶯の、
    名も福王丸と、望月小丸。利口でかわいい小鳥さん。

地   ヒューウールル フルート ヒューウールーラー
    ヒューウールル フルート ヒィーホケーキョッ    

シテ  「父鳥、母鳥、姉鳥たちと、小鳥は今ごろ遊んでるだろ。
    兄鳥、いもうと、弟鳥と、きっと楽しく遊んでるだろ。

地   なのに坊やは一人きり 山のお城の廃墟のなかで
    こうして松に縛られて 母さん知らない姉さん知らない
    風が吹くたび松の針 ちくちくちくちく落ちてきて
    夜もどろどろ深くなり 天の星座も クモの巣も
    おでこのコブへとつつんと刺さる。坊やの心につんつん刺さる。
    だから坊やは怖かろに 松のお脂も臭かろに

        <乱>

ワキ  「ちゃっ、ちゃっ。逃げたうぐいす、また啼いた。

    ヒューウールル フルート ヒューウールーラー
    ヒューウールル フルート ヒィーホケーキョッ
                
              
                  幕
| 能楽詩集 | 00:36 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
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