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ペソアファン
 ここ数ヶ月間、本屋へ行ってなかった。

 つい先日、知人のイラストレーターである坂口笑子さんが初めての絵本「たっちゃん しりませんか」(小峰書店)を出版されたので、新宿にあるジュンク堂書店へ行って購入した帰り道、ふとそんなことを思った。そこで、今日あらためて、近くにある芳林堂書店に行ってうろうろしていたら、三つの異名を持つ男(今回の本の帯で新しい彼の一面をまたも発見!「ジョイスのダブリン、カフカのプラハ、そしてペソアのリスボン」なるほど…)ポルトガルの詩人フェルナンド・ペソアの『不安の書』(高橋都彦訳/新思索社)が平台に置いてあるのを見つけた。よくぞここに居てくれたとその出合いに感謝した。奥付を確認すると今年の一月三十一日刊行されていた。本屋にはもう随分と無沙汰していたことになる。なんとなく頁をくくって見ると、以下の文がぼくを魅了した。

 雲……。今日、私は空を意識している。というのも、都市に住んでいて、都市を含む自然のなかに住んでいるわけではないが、見ずして空を感じる日があるからだ。雲……。それが今日、主たる現実で、まるで空にベールがかかると、私の運命に大きな危険がせまるというかのように気にかかる。雲……。

 一度では理解しずらい伝達不能の散文だが、肩の力を抜いて読んでみるとよく解る気がする。それに、文体自体、ぼくがもっとも敬愛する牧野和春氏の『三重塔紀行』のようでもあり、なんといっても“不安な”書なのだ。
 まあ、とにもかくにも、「ペソアの不安はぼくの不安!?」と思って、ペソアファンのぼくは早速に購入した。今からワクワク・ドキドキだ。

 その足で、BOOK・OFFへ寄ってみた。BOOK・OFFは高田馬場店か目白店、東中野店のいずれかへはほぼ毎日立寄っているが、高田馬場にある大きいほうの店に、これまた希有な本が置いてあった。ベルギーの作家トーマス・オーウェンの『黒い玉』(加藤尚宏訳/東京創元社)である。ひよんなことで、というか、黒い表紙にルドンの石版画がレイアウトされてある「一六の不気味な物語」『青い蛇』という同作家の本を以前に購入していたが、卓越した面白さにアッという間もなく虜になった。この時、『黒い玉』があることを知った。が、入手困難とのことだった。ところが、文庫本で出版されているのを知って後を追うようにして読んでみた。その本「一四の不気味な物語」『黒い玉』が目に飛込んできたのである。一六と一四をあわせた全三〇編によるオーウェンの短編がこれで揃うので、どうしても単行本でまた読んでみたかった。

 ペソアとオーウェン。どちらも“不安”な本だ。ペソアの不安とオーウェンの不安は異なったものだろうか? 何にも慰めを得ずがペソアなら、幻に慰めを得て得られずがオーウェンだろう。その行為と意識の質は違うであろうが、行き着く先の寂寥感は同一だ。我々とてもまた、それぞれがぞれぞれのキワにいて、生きている。

| 文学 | 00:00 | comments(6) | trackbacks(0) | pookmark |
コメント
管理者の承認待ちコメントです。
| - | 2007/07/05 1:17 AM |
管理者の承認待ちコメントです。
| - | 2007/07/04 11:02 PM |
* seedsbook さんへ
やっぱりそうでしたか、篠懸の種子も季節的になんだか変だし、たぶん…の国かなと思って、昨日、目覚まし時計の時差ダイアルをその国に合わせてみたばかりでした。(笑)
そちらは大洪水並だとか、いいな〜落ち着けて。こちらは降ったり止んだりのシミッタレです。
ところで、オーウエンの『黒い玉』送りましょうか?
| migumi | 2007/07/04 10:38 PM |
もう一度失礼します。
はい、夏は日本とに時差7時間の所にすんでいます。去年はサッカーワールドリーグがあった国。
今日は雨がひどくて、外に出ようとすると雨が降ってきます。それも聖書の大洪水並みの勢いです。私に外に出るなというお告げかもしれません(笑)
それで今日はコンピューターの前で作業している所です。こういう雨に振り込まれた暗い日は幻想小説にピッタリで、
是非オーウェン読みたいと、段々落ち着かなくなってきました。(笑)仕方なく先ほどドイツ怪談集 種村季弘 編を引っ張り出して拾い読みしたりしていました。
| seedsbook | 2007/07/04 9:10 PM |
* seedsbook さんへ
わーい、お手紙うれしいな、嬉しいな。
神出鬼没な篠懸種子さん、いまはどのあたりを旅しているのでしょうか?
オーウェンの『黒い玉』は創元推理文庫(F オ-2-1) ¥640で入手できますが、あなたは時差7時間のところでしょうか…?
ペソアの「不隠の書」、ぼく読んでないな。気をつけるようにします。ありがとうございました。
| migumi | 2007/07/04 8:58 PM |
フェルナンド・ペソアもトーマス・オーウェンも気になりながらあまりちゃんと読んでいませんが、いつも読みたいと思っている本でした。今手元にあるペソアは「不穏の書、断章」しかありません。オーウェンも読んでみたいです。
ましてやルドンの版画が表紙にあしらわれているとなったらその本は即連れ帰る。 

「高田馬場のBOOK OFF」と言うキーワードにも思わず反応しました。去年その辺りを徘徊していたからです。(笑)
| seedsbook | 2007/07/04 2:44 PM |
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