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ギリシャ悲劇的ジュビナイル・ロマン「空白ノ王国」 Vol_005

ギリシャ悲劇的ジュビナイル・ロマン
Icon_狼の太陽
poem_アポロン・リュカイオス




  「アポロン・リュカイオス」

その捕囚の王女はよくあたる予言をつぶやくことができた。けれども誰ひとりとしてそれを信じなかった。
-----恋多き青年美神アポロンは永遠の若さと不死を誇るがゆえに傲慢であり、冷酷であった。腕には金色のマジックで時計の絵が描いてあって、針は三時のおやつで止まっていた。そのおやつの時間であらゆる少女を誘ったが、恋はなにひとつ実らなかった。
ある日のこと、王女は頭がよかったので特別に美味しいおやつだけを失敬して美神に背をむけた。怒って分裂した美神は自分のおやつを食べている王女の口のなかへ唾を吐いた。以来、アポロンがとらえた視線のすべてを語ることができたが、呪の唾液で濡れてしまったおやつのせいで未来のことを予知しても、誰も信じなかった。王女はしかなし、未来永劫その悲しみを自身の法則でもって受けいれた。
さて、無用の戦利品になったゴミ屑といっしょに異国の地の谷の上から突き落とされて、落下しつづけているトロイアの王女カッサンドラは三千二百年もの瞬間を幾重にもつむぎあわせ、この瞬間をいま生きている。そして警告する。「恐れよ、恐れよ。太陽神は狼の姿をしていて、狼はねずみ族にとり囲まれながら座っていた。船を出航させてはならない!」と小鳥に声をたくして囁く。けれども、たぶん、だれも信じないだろう。






| ギリシャ悲劇的ロマン | 17:02 | comments(0) | - | pookmark |
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