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ギリシャ悲劇的ジュビナイル・ロマン「空白ノ王国」 Vol_004

ギリシャ悲劇的ジュビナイル・ロマン
Icon_降りてくる手(部分)
606×455mm 2020
acryl gouache
poem_ミミズ




  「ミミズ」

雨はあっという間に降りやんで、濡れたアスファルトが強い光に炙られていた。そんなアスファルトの上に身を横たえて、一匹のミミズが眼のない眼ン玉をひどく回転させながら赤むくれている。ミミズは蟻に狙われて、金蠅に狙われて、ぎらぎらした全裸をくねらせ、もんどりうってねじくれていた。もう二度と穴蔵へはもどれないだろう。

それはそうと寒い大地に根ざして生きてきた人々が、夜汽車に乗って東京へ出てきた時代があった。キューポラの街や歓楽街でうまくいった人もいただろうが、そうでない人々が随分いたころの話である。迷宮のラビリンス------美しい星座の名のような大都会へひれふして、傷つき、みだれ、ひねくれ、雪ん子たちが待っている雪国へ帰りたくっても帰れない彼ら。-----彼らは〈絶望〉という名のマボロシ駅にたむろして、夜ごと北の暗さへ消えてゆく夜汽車の甘やかな咆哮に立ち合うごと、噫吁!と、まぶたを濡らさずにはおれなかった。









| ギリシャ悲劇的ロマン | 11:03 | comments(0) | - | pookmark |
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