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「スノーグース」ポール・ギャリコ
Facebook/Book Cover Challengeより

読書文化の普及に貢献するために好きな本を1日1冊、7日間投稿するチャレンジ ・リレー!五回目です


短編小説「スノーグース」ポール・ギャリコ
訳 片岡しのぶ
あすなろ書房
装幀 桂川 潤


イギリス東南部の水辺の地に、一人暮らす風変わりな画家ラヤダー。彼が愛するのは、絵と自然、そして水辺にやってくる渡り鳥だけだった。しかし、ある日・・・とはじまるこの本は、ダンケルク撤退作戦(1940)に参加した民間船の船乗りラヤダーという男の生きざまと、ある日、その男のところへ傷ついた白い水鳥スノーグースを抱いてやってきた少女フリスとの物語です。男は背中に醜いコブがあり、スノーグースは猟師の鉄砲で撃たれていて、少女は青い血から赤い血を流す女性へ変貌しつつある際どさのようなものを、みなそれぞれに持っています。そんな投げだされたような二人と一羽には世界のはじまりの疲労感、スティグマ(聖痕)のような息苦しさやざわめきが深く秘められているようでならなかった。けれども、脆くて傷つきやすい肉体のなかで凛と佇まずにはいられない愛惜な温もり・・・。絵も文章も美しく、本を開いているとジンとくるものがあって、泣きはしないけど泣きたくなるような清らかな懐かしさがそこにはあった。私にはとても大切な“絵本”なのです。


翻訳本は他にもいろいろ出ているので読み比べしましたが、片岡しのぶさんの訳文を是非にもお勧めします。と言い終えてから、絵本「スノーグース」をまた開いて、今ここにアイリッシュウイスキーの「ヘネシー ナジェーナ」があればいいなと思う。だが「ナジェーナ」はすでに終売されている。ナジェーナとは“渡り鳥”の意を持つ古代ケルト語“ナジェーナフィエン”から由来していると聞いているが、強靭な精神の中にやさしさを持った男ラヤダーにはいかにもふさわしいピュアなモルトだと思ったからだった。






| 文学 | 11:30 | comments(0) | - | pookmark |
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