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イリアス・オデュッセイア/花骸の名はカッサンドラ



トロイア戦争の勝利から凱旋した総大将アガメムノン大王は、強妻の前では戦利品のひとつと化してしまった愛妾カッサンドラについて「心やさしく王宮に迎えるように」と、かろうじて言い放った。妻の王妃は上機嫌を装い、その夜、情夫とともに入浴中の王へ投網をかぶせ、頭上から斧を振りさげて惨殺する。その後、この地にて殺害されることをとうの昔に自ら予見したカッサンドラは、獣が屠られるがごとくなすすべもなく殺された。

ミケーネの野に黒鳥ははばたき、いつしか冬の陽は落ちて雪が降る。やがてその丘の小道を一台の馬車が通りすぎ、八つ裂きにされた一輪の花骸(はながら)が野辺の下草のあいだへ落ちて妖しげにうずくまってゆく。傷つきし赤き複眼のしたたりはひとつひとつが種子となって、まだこぬ春を永遠に待ちわびる。

散りし花の名を、アポロンに愛されたカッサンドラという。




・・・僕のイリアス・オデュッセイア詩画より、絵 は「雪酸漿」 2016)






| 紙芝居屋のオデュッセウス | 10:19 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
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