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不帰順地帯


世界の静かな中心であれ・・・ Le Petit Prince Vol;009


  不帰順地帯   

ムハンマドの血をうけついだ砂漠の不帰順族は
朝な夕なの千夜一夜を 
砂中にただよう楼閣の凹凹から
あるいは時が無限にこぼれ落ちてくる
キャラバン隊の亀裂したテントの隙間から
獲物がいつ罠にかかるかをたえず待ちのぞんでいた

ブルゲーに乗った鳥の族長は『夜間飛行』のメモ書きに夢中となり
チチンデラ・ヤパナの群れる不帰順地帯へどすんと墜ちた
「ここは飛行機の通り道じゃないが罠にかかったぞ」
一糸みだれぬスルタンの手下どもは口々にわめいた
遠くではフェネックギツネと黒いアヌビスが交尾している
砂漠に種をまくためのこれは儀式なんだ

  落ちろ 落ちろ
  落ちては飛ぶ鳥 また落ちろ
  せっかくつかんだ鳥の羽
  ワーオ・ワーオとすすり泣き
  交換しようよ種子のため
  おまえの前歯とわたしの前歯

塞がれた穴のなかにある神殿の砂を撫でながら
「どこで寝ようか、不帰順族の王女さま」
「どこで寝ましょう。空から墜ちた王子さま」
おとことおんなが一緒に寝るとき
流れつき 鎮められ 芽吹いて
やがてひとすじの銀河から小さな太陽王が古びた空をとき放つ
                  All Rights Reserved;M, satow

      * * *       

*不帰順とは武器をもって反逆や抵抗をすることであり、「星の王子さま」の著者サン=テグジュペリはモロッコの西南端にあったカップ・ジュビの飛行場長だったとき、その辺り一帯は不帰順地域であった。

*チチンデラ・ヤパナ(Cicindela Japana)とは昆虫の学名でニワハンミョウのことである。ハンミョウの特性は人や小動物が近づくと飛んで逃げ、逃げては振り向き、振り向いては飛んでまた待つという妖しい足どりをする。これがため、その奇妙な飛び方にさそわれた獲物は砂漠の奥へと迷い込んで命を落とす。が、しかし、サン=テグジュペリはそのような砂漠で不帰順族の心をつかむ。






| 花鳥風月虹の詩歌 | 09:17 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
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