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藤原北家贋縁起物語 Vol.029



ワニ皮の男と金魚のポピンズ「ザムザの朝」第二話 Vol.012

ワニ皮の男は今朝からあまり食欲がなかった。酔っぱらって川へ落ちた青年を助けるために、泳いで、泳いで、泳ぎ疲れて眠っているあいだ、みょうな生き物に変容してしまったからであった。そのためかどうかはわからないが、男の守護天使であったミミヅクは切り裂かれ、離れてしまっていまは行方不明のままであった。せっかく助けだした青年も、その後の消息はわからなかった。

「夢が叶ったわ」
と金魚が言った。
「え!」
とワニ皮の男がこたえた。
「じつはね、わたしはもう何百年も水のなかにいたのよ。それがね、急に気がかわったの」
「なぜ?」
「誰にだってあるとおもうけど、理由なんかぜんぜんないの。大人になったからだとおもうわ」
「金魚に大人と子供の境なんてあるのかな?」
「金魚じゃなかったのよ」
「ええ!」
「だけど人間でもない。シースプライトだったの」
「シースプライト?」
「水を支配している生き物でね、まあ、人魚のような妖精かしら」

「………」

「ね、お食事しない」

「………」

「それがね、ある日背中を丸めて水面ちかくへ浮かんでいたら、あなたが紙のスプーンでわたしを掬った」

「………」

「だけど水から外へでた途端、ペット用の愛玩金魚になっちゃった。ちっとも愛されはしなかったけれど」
と言って、金魚はプッと泡を吹いて笑った。(日刊、時々休刊「 妖精新聞・第二話 」好評連載中/つづく)






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