CALENDAR
S M T W T F S
    123
45678910
11121314151617
18192021222324
25262728293031
<< October 2020 >>
ARCHIVES
CATEGORIES
MOBILE
qrcode
<< TANGO/鬼とジャスミン Vol.006 | main | 雪飴じゆとて! >>
TANGO/哀しみのミロンガ Vol.010
平成無常論的エコロジカル詩集「TANGO」





 しあわせな朝

めざめのよい
なんてしあわせな朝だろうか
母さんは庭でせんたくをしているし
妹はキンポウゲの花と遊んでいる
父さんはいまごろ煙草をふかせながら
ここいらでいちばん美しい
ぎざぎざ山のふもとから峠をすぎて
手ずくりパンみたいなトラックで走っているだろう
うまれたばかりの子牛のおともだちにと
隣村へちいさな牝牛を買いにいったからだった

わたしはさっきからぼんやりと
母さんや妹がしていることをみていたり
ジャンプするシロやキンポウゲの花をみている
そして
日に焼けた父さんの笑顔をおもいだしながら
『星の王子さま』をまた読んでいる
てぇいうか なんども読んでしまったから
今朝はすてな箇所をタイプライターで印字していた
そうしたあいだにも
母さんが洗って干したせんたくものは
つぎつぎと乾いていった
なんてきもちのよい
なんてしあわせな朝だろうか


  おとなの人ってものは
  よくわけを話してやらないと
  わからないのです

とか

  おとなたちには
  だれにも
  それがどんなにだいじなことか
  けっしてわかりっこないでしょう


父さんも母さんもそうなのだろうか
わたしや妹もそうなってしまうのだろうか と
すこしは不安になりましたが
飛行機乗りの詩人がいっていることを
わたしは信じていたかったから
赤いタイプライターをトン・トンと叩きました

突然!
 
鳥たちがみょうな合唱をいっせいにしたとおもうと
あちこちへつぎつぎと飛びたっていった
するとすぐにも
黒いマントをきた怪人のような雲が
回転する独楽のようにひと塊となって
ぶるぶる泡をとばしながらこちらへむかってやってきた
さわやかだった風はざわざわとさわぎだし
わたしの腕の 足の 肩の 全身に鳥肌がたった
心臓もどきどきして
いじわるそうな黒雲はおおあばれしながら
きちんと乾いたせんたくものをぐちゃぐちゃに濡らして
それを吹きとばし
母さんを気狂いさせ
妹を泣かせ
シロを キンポウゲを吹きとばしていった
わたしの赤いタイプライターが激怒して
カタカタカタカタ カタカタカタカタ・・・と
いつまでも強く印字している

母さんをみつけようとしても
妹をみつけようとしても
どこをさがしても霧ばかりがたちこめていて
どろりとする黄色いなめくじのようにきしょくがわるく
わたしの膝はがくんとくずれた
ドラキュラのような顔をした黒雲はとっくにもういなくなっていて
どこかでシロがないているようでもあったが
にげていった雲の方角をたしかめてみると
まっすぐに北へとむかっていた
北はお気にいりのトラックでいま走っているであろう
父さんのいる
ここいらでもっとも美しい
のこぎりのようなかたちをした
地蔵峠のあるぎざぎざ山だ

お父ぉぉぉさぁぁぁ〜ん!
お父ぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉさぁぁぁぁぁ〜ん


*今朝みた夢から。。。。。。。。








| - | 13:05 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
コメント
コメントする









この記事のトラックバックURL
トラックバック機能は終了しました。
トラックバック