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『橋本平八と北園克衛』展


昨日は免許証の更新を済ませ、世田谷美術館へ行った。『橋本平八と北園克衛/異色の芸術家兄弟』展を見るために。この展覧会は今年の夏、三重県立美術館で開催されましたが、世田谷美術館と共同で準備された企画展とのこと、巡回展です。

そんな夏のある日、玄光社の片桐淳一氏とピンポイント・ギャラリーの西須由紀さんとともに『WEST&EAST』展の審査員として、二日ほど大阪でご一緒したことがありました。審査は無事に終って、片桐氏が三重県立美術館へ回るとおっしゃったので自分も後からそちらへ回る予定でしたが、都合が悪くなり、断念せざるを得ませんでした。三重県はわたしの故郷でしたから二倍の喪失感のまま、新幹線に乗った記憶が、いま再びよみがえります。

詩人であり、デザイナーであり、イラストレーターであり、編集者であった北園克衛(本名:橋本健吉)のことはデザイン学生だったころから『VOU』の機関誌を通して知っていたし、ずっとファンだったし、十年ほど前には奥成達氏や金澤一志氏、田名部 信氏、藤富保男氏等が発刊された北園克衛研究冊子『kit.kat +plus(キット カットプラス)』に「魚骨式デザイン乃至は貴方の白い破片が何になるのかヴィナスよ」という駄文を書かせていただいたこともある。だから弟北園克衛のことはまま知っているつもりであったが、兄の平八については情報があまりなく、早世した彫刻家ぐらいのことしか知らなかった。ところが、展覧会を見てびっくり、すばらしい木彫が並んでいた。

《老子》像も他の木彫も鉈目は美しく、頭部から身体にかけてのヴァランスや流れには尋常でないものが宿っていました。また《弱法師》の黒い垂髪は大胆不敵にも、まるでグンと膨れあがった牡鷹の雙翼のごとくにヴォリューム感があって、その姿は前代未聞の強い“弱法師”であった。

とくにわたしのようなイラストレーターにとって、《兎(双兎)》、《鶴(双鶴)》、《白猪》には学ぶものがありました。楠の木材に彩色されていましが、各々が持つ作品の風格には捨てられたものと拾われたものとが共にせめぎあっていて、残されたところに愛らしさみなぎっていた。そうした《鶴(双鶴)》や入館してすぐに見た扇状の展示室に置いてあった《裸形の少年像》には、遠くエジプト彫刻の香りが漂ってもいた。

ついつい、北園克衛を見るつもりで行った展覧会ではあったが、兄の平八ばかりを見ていた展覧会だったかも知れない。見終わって外へ出てみると、砧公園はもうまっ暗。木立にカメラを固定しながら写真を撮っていると、暗闇の小道から「あッ! さとうさ〜ん」という柔らかい声がした。振りむいてみると、以前、岡本一宣デザイン事務所に在籍していた鈴木恵美さんが薄暮れないの細い歩道に立ってニコニコされていらっした。「エ〜、こんな暗いのになんで解ったの〜?」と言ったら、「その頭の形で〜」と言われて二人は大いに笑ったが、彼女とは二年半ぶりの再会だったので一瞬! 花はいつまでも咲きそうであった。しかし、少しでも早く、少しでも多くの作品を鈴木さんにゆっくりと見ていただきたかったので、その場で早々にお別れをした。


*『kit.kat +plus(キット カットプラス)』に掲載しました「魚骨式デザイン乃至は貴方の白い破片が何になるのかヴィナスよ」は、三重県の風土から推測をした「北、園、克、衛」の漢字羅列によるペンネームの由来について書かせて戴いた、たわいのない妄想譚です。




| 美術 | 11:30 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
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