2010.04.28 Wednesday
雨の中のケンタウレラ

今朝 雨の中を手紙を投函するために表へでてみると
低学年の小学生たちが
お母さん方と一緒に歩いていた
だれもがランドセルの上から雨ガッパを着ていたが
一団にいる男の子だけがひとり
たぶんショルダーバックのようなものを下げていたのだろうか
カッパを着ているのでほんとうのことは分らないが
その姿はまるで
ヴィヴィアン・ウエストウッドのバッスルスカートのようで
ついついじっと見つめてしまった
いま描いている絵本に登場する鱗姫は
海の龍神に奇麗な脚をもらって地上でひそかに暮らしている
だが ふだん隠しもっている尾鰭をどのように始末しょうかと
実際のところはずっと悩みつづけていたので
雨の中をゆく小学生をなんとなくつい眺めてしまった
かわいい雨ガッパは適度に濡れていて
青と緑と細い赤線でできたシブイ色調の防水服は
まるで青光りをした鱗のようでもあった
鱗姫のコスチュームは
ヴィヴィアン・ウエストウッドのバッスル風として
後部膨らみの中へ
長い尾鰭を巻貝のように巻いて隠すというプランに決めてはいたが
今朝 そのことが雨の中で決定した
臀部の上でユラユラとゆれる雨の中の小学生の膨らみは
馬や鹿などの動物を人手がたりない学芸会で演じたときような
そんな滑稽さや可愛さが共存していた
そして母親に連れられて
そそくさと雨の中を急ぐ子どもの表情には
馬上の騎士にも似た凛々しさがいくらかはあった
はは〜ん ケンタウレラだなと思った
ケンタウレラとは
ケンタウロスとシンデレラを組み合わせた造語であるが
雨の朝の槍の降るなかに
わたしがづっと追い求めていた鱗姫の絵姿がそのままにあった
それは凛とした雄々しさと 柔らかさであった