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桃紅さん
    I

書から離れ
美術家として
抽象表現されている
篠田桃紅さん

この方の創作風景を
じっと撮影した
TV放送の録画が
手元には
いくつかある

NHK「一点中継・つくる
これがいい

和紙を張った
襖三枚分ほどの大きなパネル
その支持体が床に置いてあって
古墨を擦っては
一本
また一本
そして 
また一本
もひとつ一本
もう一本と
太い線
細い線を
幾重にも描いてゆく

支持体が大きいので
青いフェルトを張った
長い渡り板の上に乗っかって
桃紅さんは描く

その渡り板を
ときに痩せた細い身体で移動する
すると
板を浮かせていた金色の座布団が二枚
板の下から出現するが
その座布団をポイッと
無造作に支持体の中央ヘ投げ
その上へ
白足袋を履いた桃紅さんが乗っかって
幾重にもまた線を曳いてゆく
突然
この人の癖なのか
咽喉や顎の辺りをしきりに手で撫で
思案し
作業を止め
墨の乾きを待つ時間も創る課程の一つ
インタビューではそう云いきって
障子へ映った濃淡の影を眺めては
楽しんでいる

   II

事のはじめの目印に
使い慣れた小石を
大きな支持体の一点へ置き
石のすぐ傍から
青墨の線
茶紫の線
銀の線
黒墨の線
長々とのびて
ときに支持体へは
青い長板が乗っかったり
金の座布団が乗っかったり
白足袋が乗っかったり
つまり
事は自在に変化する

凛として
和紙へ曳かれゆく線は・・・
桃紅さんの墨は・・・
どれもがフライパンに乗っかった
四角いバターの塊が溶けてゆくように
筆から和紙へと
溶けてゆく

うすぐらき部屋の
白い空間へ
金色の座布団がポイッと投げられ
そこだけが金箔に見え
目印の小石が点々と移動して
やがては消え
またも現れ
細い 長い 青い渡り板の矩形が
画面を切断し
あるいは
斜に横断するたび

目には見えない水の上を
桃紅さんの線がうつろい
桃紅さんの墨がそよぎ
桃紅さんの命がさやぐ

人のこころの形が見え隠れする場所
その怪しさ・・・
めざすところは違っていても
東洋人

一挙手一投足
嗚呼 畢竟
これだな! と思った


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