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イリアス・オデュッセイア/丸い眼が一つだけの巨人キュクロプス


へーパイストスという鍛冶職人は自由自在に歩くことのできる真鍮製のロボットを造った天才で、一つ目巨人キュクロプスはこの親方の弟子となって、その工房でいろんなことを学んだ。彼はすでに独立して、いまはシチリア島の近くに住んでいた。オデュッセウスはトロイア戦争の帰路、この島へどうしても立寄ってみたかった。世界を二分するほどの原因をつくった美女へレネの秘密を証しておきたかったからである。キュクロプスはキュクロプスで、オデュッセウスがこの島へやってくることを兄のポセイドンからすでに聞き知っていた。

オデュッセウスはさっそくに、美女へレネは機械仕掛けのからくり人形ではなかったのか・・・とキュクロプスにたづねた。すると一つ目をウインクしながら「おまえが持っている白金の、そのペーパーナイフをおれにくれたら教えてやろう」といった。そこでオデュッセウスは左腕のホルダーにつけておいた匕首をさしだした。光だけはりっぱだったのでキュクロプスはよろこんで、すぐにヘレネの秘密をしゃべった。

あれはおれの造ったものではなく、お師匠さんである親方のへーパイストスが造った自動人形で、未来的なイブなんだといった。では、“いのち”の始末はどうすればいいのだとたづねると、キュクロプスは丸いおおきな目玉をぱちぱちさせて、さっき手に入れたナイフを二三度ほど噛むと、まっ赤な顔をして怒りだした。革新素材のステンレス製だとばかりおもっていたナイフがへにゃちょこなブリキ製であることを見やぶったからである。肝心な謎を聞きだせないまま、あとは逃げるが勝ちとばかりにオデュッセウスはその島を逃げだした。老いたキュクロプスは四角い紙切れにスケッチしておいた火炎放射器の操作図面をみつめながら、まだ若やいでいるレーザー光線のような火焔をオデュッセウスの船にめがけてプーッと吐いてみせた。(ぼくのイリアス・オデュッセイアより、絵は「丸い眼が一つだけの巨人キュクロプス」 2018)





| 贋作ギリシャ絵物語 | 14:34 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
イリアス・オデュッセイア/復讐女神エリニュスの島


投げた槍がトロイアの喉元へ当たれば地中海の覇者になれると踏んで旅にでたその男は、テキ屋まがいの家業で一世を風靡したが、故郷へ帰ることもできず、海に浮かんだちゃぶ台のような小島を点々と彷徨いつづけていた。大親分のアガメムノン大王も、舎弟も、鉄砲玉の子分たちも死んでしまって、いまはひとり船をこぎすすめながら帆を操って生きのびていた。

そんなある日、海の真中をいっぴきの蠅が飛んでいくのを見つけた男はポンと膝をたたいて、金色にかがやいた大きな蠅のあとを追った。運よく、イドラ島へ辿りついた。が、ところで、さてさて、頭脳明晰な現代人のあなたは思うであろう・・・この島はその男の神話伝説には登場しないと。しかしながら19世紀末に古代のごみ捨て場からみつかったオクシュリュンコス・パピルスの文書には「復讐女神エリニュスの島」とおぼろ記されてあったのだ。復讐女神エリニュスとは親を殺したり偽りの誓いをする罪にたいして復讐をする女神として知られているが、数は不定で三女神とも多数神とも呼ばれていた。話をもとへ戻し・・・

男はなにも知らずその島へ上陸すると、うすももいろにふくらんだラフレシアのような肉体をもった女がごつごつした岩のてっぺんに横たわっていて、混沌という名のカクテルを飲んでいた。聞けば、ミケーネのアルゴスからイドラまで南下したばかりだったので喉が渇いたといいながら、さっきの蠅の正体はわたしだと挨拶した。男も挨拶すると、女神は「ペーパーナイフ投げ師オデュッセウスのことならなんでも知っているよ」といって笑った。それから、アガメムノン大王を殺害した王妃と情夫に復讐すべく、姉エレクトラとともに実の母親とその情夫を殺して仇を討った弟オレステスにグロテスクな呪いをいまかけてきたばかりだといって、また笑った。(ぼくのイリアス・オデュッセイアより、絵は「オデュッセウスとラフレシア」2018)






| 贋作ギリシャ絵物語 | 15:06 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
イリアス・オデュッセイア/カリュプソは初戀の味



うつらうつらとして、これは夏の昼寝でみた夢だろうか・・・。さっき二人して飲んだ白いカルピスはもうどこにも出口のない蜜の味がしていた。蜜は甘苦く、初恋の味であった。それがペネロペイアとのものであったかそばにいるこいびととのものであったかすらわからないでいる。そんな自分のからだをみつめながら、オデュッセウスはザクロいろしたこいびとの裸の丘のうなじへ登って、今日も遠い水平線の裏側ばかりをのぞき込んでいた。

光や風がぴゅうぴゅう騒いでいる北回帰線の振動にあぶられて、オデュッセウスは休息のふかみからのがれたいと願っていた。

「こいびとよ! おれはおまえとのここちよい蜜月の打撃からのがれて、にんげんの女が住んでいる故郷へ還らなくてはならない。だっておれは赤い血が流れているにんげんだし、その女ペネロペイアは初恋の人なのだから」

するとドルフィンのようにしなやかだったニンフ・カリュプソのからだがわなわなとふるえだし、腰につけていた花の甘いひだが二人のうえで弧をえがいたかとおもうと、気丈夫にほほえんだ帆をいっぱいに孕んでみせて夢のように美しい船を一艘かたちづくってくれた。(ぼくのイリアス・オデュッセイアより、絵は「カリュプソは初戀の味」2018)






| 贋作ギリシャ絵物語 | 19:07 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
イリアス・オデュッセイア/木馬より花を


チビ助だったころの琥珀を描いてみました。

“身内”を描くのははじめてです。

オデュッセウスの愛犬アルゴスにあやかって、凪渚にて彼におんぶされています。ついでにお話も書いてみました。よかったら読んで下さい。


         *   *   *


むかしのむかし、つぎの王になるための試練として黒海の奥地へ金の羊毛をさがしにいった若者がいた。名をイヤソーンといって、その苦難の冒険をアルゴナウティカという。船大工アルゴスのつくった船アルゴ号にちなんだ物語だった。ほかにアルゴスと呼れるものに、千の眼をもつ巨人がいた。

たぶんそれらから、ご主人のオデュッセウスはぼくのことをアルゴスと呼んだ。

オデュッセウスは小さな島の王であったが、このたびのトロイア戦でギリシャ随一の王になろうとしていた。けれども、じっさいはアルゴナウティカの辿りなおしをしながら20年の歳月を危険にみちた海の上をさまよわなければならなかった。そんな苦難と野心にみちたむごい戦争をさけるため、ぼくは船出の風を止めたのだった。アルゴスという名前をつけられたとたん、千の眼の力を得たからだった。しかしぼくは仔犬だったから、凪はそうながくつづかなかった。(ぼくのイリアス・オデュッセイアより、絵は「凪渚のオデュッセウス」2018)





| 贋作ギリシャ絵物語 | 08:39 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
首の差で/Por una cabeza


 「夢の香り」

ぼくは目がみえないが 
ダンスを踊った 

そのひとからは 
ふしぎな匂いがした

みぎ耳からプンと百合の香りがして
ひだり耳からはリコリンの香りがした

デ・リスだろうか
プワゾンだろうか

百合と毒との花群れが溶けあって
そのひとの肌で調合され…変調する

首の差で 踊る
一輪の花

その花に支配され
ぼくたちは三曲踊った

あとはそのひとを見失ったが
広いサロンで踊っていたら

とつぜん!
百合と毒がうごく

眸をとじて
そのうごきを叮嚀にさがすも

「Watashi」という曲が流るゝ
そのひとはもうぼくのことを忘れたろう

          (琥珀の告白)より





| 贋作ギリシャ絵物語 | 12:36 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
2018_琥珀の告白



右目は完全につぶれてしまった丹下左膳のぼくです
左目も小さいときから見えません
耳もきこえなくなり
足腰もだいぶ弱ってきました
ぼくのご主人も弱ってきましたが
まいにち一緒に散歩しています

弱虫になってしまったぼくたちですが
おおぜいの皆さんからいつも声をかけていただき
勇気をいただいて
今年も元気よく歩いていきます

いつも応援 ありがとうございます


                  琥珀より





| 贋作ギリシャ絵物語 | 17:08 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
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