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卒塔婆小町

                           海小町 Michihico


【歌】 わびぬれば 身は浮草の根を絶えて 誘う水あらば
    いなむとぞ思う(おののこまち)

ほほッ  ほふやれ ほふやれほ
ほほッ  ほふやれ ほふやれほ
そこの御仁よどいてくれ
シルバーシートは老婆のもの
うぬらもやがては老婆のよに
身は浮草の根を絶えて
誘う水なしチンチン電車
ゆらゆらゆれて針の山
ほほッ ほふやれほふやれほ

【栞】 なにをうるさきクソ婆 行きて疲れて腰掛けて
    良いも悪いもあるもんか なッ なッ! 
    街は俺らの私のものよ
    ジジ ババ ガキは寝てこませ

ほほッ そこのボインの姉チャンよ
お股もっこりひろげた兄チャンよ
われもむかしは戯れに
鴬鳴かせたこともある
小野の小町のなれの果て
うぬらも哀れこの老婆のよに
なって無常のチンチン電車
ゆらゆらゆれて死出の旅
身は浮草のゴミの数珠(たば)

【歌】 夢路には 足もやすめず通えども 現に一目
    見しごとはあらず(そとわこまち)

覚悟をしいや ほほッ ほふやれほ
往生しなっせ ほほッ ほふやれほ


           佐藤三千彦能楽詩集より「卒塔婆小町/そとわこまち」




| 能楽詩集 | 09:10 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
銀水引
       シテ/弥勒
       ワキ/夜叉
       所 /神楽坂
       時 /はてなの小道


弥勒  「むかし、白テントと云う小さな劇団があったのを知ってるかい。

夜叉  「ああ、知ってるさ。
     六〇年代後半に活躍してたが、たしか、団長が行方不明になったと
     かで突然に姿を消した謎の劇団だろ。大のファンだったさ。

弥勒  「ふふッ、貴様もぞんがい酔狂な男だったんだな。

夜叉  「白テントとは云っても雨風に汚され、まだらな紋様が淡い水墨画の
     ようで痛快だった。
     あれは、紅テントや黒テントの先駆けだったよな。

弥勒  「ああ、そうだ。
     出し物の一番人気は『瞽女』で、汚れたテントがいいぐあいに雪の
     原になっていた。

夜叉  「………懐かしいな。
     白テントをささえる丸太の足場が蜘蛛の巣か、雪舟の秋冬山水図の
     冬景を思わせたぜ。

弥勒  「そうよ。その雪舟の絵の中の旅人のような白装束の瞽女こそが団長
     の十八番で、興にのれば蜘蛛の巣のような足場へ飛び乗って、梁の
     上でゆきつもどりつもだえながら、背中にかついでいた太棹を小脇
     へ抱え、足の指やら舌を使ってむちゃくちゃに演奏をしていたのを
     おぬし覚えているだろう。今日がその団長の命日っていうじゃない
     か。

夜叉  「へ〜?! だけど、あれでもどこかのれっきとした検校に習っていた
     そうじゃないか。

弥勒  「さーてと、その検校よ………。たしか、濁江検校とか云っていた
     な。

夜叉  「むむッ! 濁江検校に? おれの知っている女に、三味線で越後獅
     子を粋に弾くのがいてね、この女、その検校に習っていたと聞く。
     ななッ、な、南無三宝………。


【間狂言】イヤーッ、カン。イヨッ、ポン。イヤーロロロッ、カン、カン、ポ
     ン。ポン。
     きょうはなげなく永明寺のほうへ曲がりますと、すっかりわからな
     くなって、このへんをいくどもぐるぐると廻っているうちに、ふと
     見るとお宅の表札に夜叉と書いてあるじゃありませんか。
     いちどおたずねしなければと思っておりましたもんですから、ふら
     ふらと玄関へ入ってしまいましたのよ。


地    牡丹は持たねど越後の獅子は 己が姿を花と見て 庭に咲いたり咲
     かせたり

夜叉  「はて、そら耳か?

弥勒  「で、その女とおぬし、その後どうなったんだい。妙に気にかかる
     じゃないか。

夜叉  「………………………………。

弥勒  「どうしたんだい。きゅうに黙りこくって。

夜叉  「行方わからずだったが、今日がその女の命日なのさ。

弥勒  「ほーッ! どうりでさっきから、おぬしの尻ポケットより銀水引の
     糸が三下がりの泪にたれていて、つくづく闇夜に美しいと思った
     ぜ。団長と女のために、夜叉、今夜は能登の菊姫でも飲もうや。

夜叉  「ああ、とことんつきあってくれるかい。

地    ふと友につぶやきて かたわらを見る夜叉に おぼろ光をうける黄
     泉路から 女の面影 虫の声



 ※久生十蘭「黄泉から」の一節を無断で使用し、変更したことを記す。

         ーーーーーーー 幕 ーーーーーーー

| 能楽詩集 | 19:13 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
護符
護 符(ごふ)
      シテ/修羅男 ワキ/峯子 間狂言/鈴虫 
                  所/茶室のような小間 時/夏


            *この護符は、三峯山のお隣にある御嶽山の御札。


地   黒髪を かたくむすんでS文字の髪

シテ  「きみが女の、こころのうちを。

地   きっとほついて 散らせてみたい
    きみが黒髪 夜会巻

囃子  チン トン ビュウイーン
    ベベーン ベン チリリリリリリリ・・・・

シテ  「夏の夜は、なお、たそがれて鈴の虫。

地   鳴いて修羅男(しゅらお)は 眠りたる
    鳴いて修羅男が 眠りたる

囃子  チン トン シャン
     ビュウイーン ベベン チリリリリリリリ・・・・

地   三弦の 棹を三つにばら ばら ばらッと
    折って畳へならべてる きみが女の

狂言  足袋のこはぜの 金のいろ
    ひざの無言や指 抱きしめながら

シテ  「きりっとむすんだ、黒髪を、
    きっとほついて、散らせてみたいと思っているが。 

ワキ  「おんなの黒髪、夜会巻。
    火焔太鼓か、蔓、草、渦潮、糸ひくけむり。

囃子  チチチチチチチチ トォーン チン シャン
    チチチチチチチチ ベベーン ベン ベーン

シテ  「足袋のこはぜの、金のいろ。
    ひざの無言や指、抱きしめながら。

ワキ  「きりっとむすんだ、黒髪を。
    きっとほついて、散らせてみたいと願っているが。

地   帯の織柄 護り札
    三峯神社の狼が 眠り修羅男を睨んでござる
    盗人せぬよう きりっと睨んで見てござる

囃子  チン トン ビュウイーン
    ベベーン ベン チリリリリリリリ・・・・
             
                幕
| 能楽詩集 | 17:37 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
銘鶯
銘 鶯(めいおう)
      シテ/風の反三郎 ワキ/松の精 所/山城の跡 時/丑三つ時



地   ガラスのような北風が吹き 松の針をふるわせた
    ヒューウールル フルート ヒューウールーラー

ワキ  「坊やはなぜに、二羽のうぐいす逃がしたの。 

シテ  「ああ・・・・あれは『引きかな口流』銘鶯の、名も福王丸と望月小丸
    だ。父とふたりで野へいでて、雪ふる朝に竹やぶの、枝にミカンを
    つき刺して、パッと捕らえて育てたの。

地   なのに なぜにどうして逃がしてしまった
    ヒューウールル フルート ヒューウールーラー

シテ  「おくれ毛悲しや母をまもって、父にさからい鳥の籠、
    鞠を蹴るようにころがして、二羽のうぐいす逃がしたの。

ワキ  「ふふふ、だから坊やは一人きり、山のお城の廃墟のなかで、
    こうして松に縛られて、母さん知らない姉さん知らない、
    風が吹くたび松の針、ちくちくちくちく落ちてきて、
    夜もどろどろ深くなり、天の星座も、クモの巣も、
    おでこのコブへとつつんと刺さる。坊やの心につんつん刺さる。
    だから坊やは怖かろに、松のお脂(やに)も臭かろに・・・・・・。

シテ  「なんのこれしき元気だよ。父さんいなくてかまわない。
    松のお乳はよい匂い、丸い満月、大鼓(おおつづみ)。
    どどどん、ぴかぴかゆかいだし、松葉のフルートおごそかだ。

地   ヒューウールル フルート ヒューウールーラー
    ヒューウールル フルート ヒィーホケーキョッ

ワキ  「逃げたうぐいす思いだす。父とふたりで野へいでて、
    肩をあんなによせあって、パッと捕らえた銘鶯の、
    名も福王丸と、望月小丸。利口でかわいい小鳥さん。

地   ヒューウールル フルート ヒューウールーラー
    ヒューウールル フルート ヒィーホケーキョッ    

シテ  「父鳥、母鳥、姉鳥たちと、小鳥は今ごろ遊んでるだろ。
    兄鳥、いもうと、弟鳥と、きっと楽しく遊んでるだろ。

地   なのに坊やは一人きり 山のお城の廃墟のなかで
    こうして松に縛られて 母さん知らない姉さん知らない
    風が吹くたび松の針 ちくちくちくちく落ちてきて
    夜もどろどろ深くなり 天の星座も クモの巣も
    おでこのコブへとつつんと刺さる。坊やの心につんつん刺さる。
    だから坊やは怖かろに 松のお脂も臭かろに

        <乱>

ワキ  「ちゃっ、ちゃっ。逃げたうぐいす、また啼いた。

    ヒューウールル フルート ヒューウールーラー
    ヒューウールル フルート ヒィーホケーキョッ
                
              
                  幕
| 能楽詩集 | 00:36 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
海賊
海 賊 
        シテ/九鬼丸 シテツレ/紀州犬 所/鼓ヶ浦



シテ   「ぼくは此処が大好きだ。
     灼けた白砂、裸足になって、
     むこうの島まで泳いでゆくぞ。
     黒潮つかんだ壱、弐、参。
     ひとりぼっち、競争だ。
     ぼくは海の子、海賊だ。

地    父さんなんか なくていい
     母さんなんか なくていい

シテ   「むこうの島まで泳いで還り、
     こうして白洲に眠っていると、
     松葉がひゅーるる笑っているよ。
     渚がどどんと怒っているよ。
     ひゅーるるフルート、優しいな。
     どどどんドラム、凛々しいな。

シテツレ 「島でひろった光の旗が、いま、燃えている。
     おまえとならばどこまでも。

囃子   どどどん どどどん(足拍子)
     ひゅーるる ひゅーひゅー(破舞)
     どどどん どどどん(足拍子)
     ひゅーるる ひゅーひゅー(破舞)

地    父さんなんか なくていい
     母さんなんか なくていい

シテ   「ぼくは海の子、海賊だ。

囃子   どどどん どどどん
     ひゅーるる ひゅーひゅー
     どどどん どどどん
     ひゅーるる ひゅーひゅー

                幕
| 能楽詩集 | 00:06 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
挨拶
挨 拶
       シテ/小紫 シテツレ/赤鴉・青鴉・白鴉 所/刑部神社の森



地    入っちゃいけない

シテ   「入れてよ、入れてよ。

地    遊んじゃならない

シテ   「入れてよ、入れてよ。

地    あいうえお刑部(さかべ)神社の境内
     椎の実たくさん落ちている
     椎の実いっぱい光っている

シテ   「二十羽、三十・・・・・。

シテツレ 「赤鴉が来るぞ。

地    入っちゃいけない

シテ   「入れてよ、入れてよ。

地    遊んじゃならない

シテ   「入れてよ、入れてよ。

地    あいうえお刑部神社の境内
     椎の実おめめが落ちている
     椎の実おめめが光っている

シテ   「二十羽、三十・・・・・。

シテツレ 「青鴉が来るぞ。

地    入っちゃいけない

シテ   「入れてよ、入れてよ。

地    遊んじゃならない

シテ   「入れてよ、入れてよ。

地    あいうえお刑部神社の境内
     わたしがお宮へ入るのは
     いまも眠らないものたちの
     カンシャク玉を鎮めるために
     空気を丸めてお参りしんす

シテ   「二十羽、三十・・・・・。

シテツレ 「白鴉が来るぞ。

地    入っちゃいけない

シテ   「入れてよ、入れてよ。

地    遊んじゃならない

シテ   「入れてよ、入れてよ。

地    あいうえお刑部神社の境内
     椎の実いのちが落ちている
     椎の実いのちが光っている

                幕
| 能楽詩集 | 13:36 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
橋姫
橋 姫
シテ/橋本捨之助 所/代官橋



シテ  「父さんボクは、だれの子ですか。
    母さんボクは、だれなのですか。

地   父さんなんにも話してくれぬ
    母さんなんにも話してくれぬ

シテ  「父さんボクは、だれなのですか。
    母さんボクは、だれの子ですか。

地   おまえはね 橋のほとりで拾ったの
    泣いてるところを 拾ったの

     (舞)

シテ  「父さんボクは、だれの子ですか。
    母さんボクは、だれなのですか。
    ボクのお口はおおきいな。笑えば奥歯に牙もある。
    指笛吹けば、指の水掻き、さびしいな。
    運河へ浮かんだ赤い靴、石を投げてもあたらない。

     (足拍子)

地   貧しき人の住むという 刑部(おさかべ)神社のその裏手
    代官橋のほとりに暮らす 耳をかくしたあの女
    おまえは鬼の子 橋姫の子だ

シテ  「ボクは鬼の子、橋姫の子だ。

地   そうだよ おまえは橋姫の子だ
    影をごらんよ 耳がない
    影をごらんよ あかい影
    うつし身を継ぐ 橋姫だ 

                 幕
| 能楽詩集 | 00:05 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
日曜
日 曜
シテ/前髪太郎 所/霞ヶ浦



地   龍宮城ってあるのかな

シテ 「ほんとにぼくは見たんです。

地   かすみのかかった日曜日
    海へ行ったらありました
    おおきな屋根がくれないで
    ご門の伽藍はしろかった
    海はむらさき みどりは松の
    風はそよそよ 空は紺碧

シテ 「ほんとにぼくは見たんです。(序舞)
    浜辺におおきなタコがいて、
    海の子どもと遊んだの。

地   八人そろって遊んだの
    タコのあたまへ登っては
    八ッのお手々のすべり台
    すべってころんで遊んだの
    八方四方へと遊んだの
    遠い日遠い日 日曜日

    (天女舞)

地   龍宮城ってあるのかな

シテ 「ほんとにぼくは見たんです。
    小さな小さな、小さなころに、
    海の聖母と遊んだの、
    海の人魚と遊んだの。(乱)

地   けれどもいまではありません
    みるのはいつでも鬼ヶ島
    空も海も砂浜も 松も伽藍もがらんどう
    煙のかかった灰いろの街 湾岸道路
    月月 火火 水水 木木 金金 土土と
    みるのはいつでも鬼ヶ島

シテ 「ほんとにぼくは見たんです。(足拍子)

地   遠い日遠い日 日曜日

                幕
| 能楽詩集 | 11:18 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
甲 殻
甲 殻(こうかく) 
       シテ/耳彦 ワキ/騎士なにがし 所/青山墓地



地   夕暮れ時の 青山と呼ばれし界隈に 美しき絃の音は流れたる
    骨董通りのはずれ道 丘の上の石の影から聞こえたり
    ありゃ『玉虫昆虫館』と云う店の 丁稚の若者が弾くギタルラの音
    丁稚が奏でるギタルラは ポルトガル産の孤愁さうだあーじ
    今日もだんなさまに頼まれて 奇蝶奇蝉を捕獲に来たが
    父の形見のギタルラだけは こうしてひとときも離さずに
    つかのまの夕暮れを だれへ伝えることもなく ただつま弾いて

囃子  シャンシャラ シャラララン シャン シャララン

ワキ  「貴様! 玉虫昆虫館に住まう耳彦であろう。

シテ  「はい、おおせの通り。私は猫目耳彦と申しますが、そちらさまはど
    なたさまで……

ワキ  「われはヤンゴトナキ御方につかえる騎士でごじゃる。そなたのいる
    昆虫館には、
    たいそう大きな平家蟹がアルコール浸けになって沈んでおじゃるであ
    ろうの。

シテ  「は、はいッ。おおせの通りにございます。

ワキ  「それをいますぐ、持ってまいれ。ヤンゴトナキ御方は今宵待ってお
    られるのじゃ。
    ただちに、いますぐ、ここへ、持ってまいれ。ささ、はよう持ってま
    いれ。

地   有無を云わさぬ騎士が言葉に耳彦は 丘をかけおり ひき返えす
    丘をかけおり ひき返えす ささ ささと おりたる丘を ささ登り
    たる 
    手には平家の蟹をたずさえて『騎士様これに』と 献上する
    青山の 丘の上ゆく影法師 かさなりあったり もつれたり
    どこまで辿るか二人組 地獄極楽 はて はてな さても今宵はどの
    あたり
    影ぼっつりと消えうせる
    なもあみおだぶつ なまあんだ…… ぎゃていぎゃてい なまあんだ

シテ  「越えゆけども、越えゆけども黒い山。
    ないてひぐらし、とんでひぐらしひとり旅。 
    ふとふりむけばこはいかに、街にはあらずや芒ケ原。
    街にはあらずや芒ケ原の、井戸の、奥の、地下水道。
    そのまたむこうよ、こは海の底。

地   騎士に曳かれし若者は 甲殻泡を飛ばすのひとり旅
    騎士にもたれて弾く曲は 甲殻泡を飛ばすのひとり唄
    影は同胞を曳きつれて いまや甲殻へと乗りうつる
    恨みをのんで乗りうつる 我が同胞の妄執は
    ここでこうしてはらそうぞ 無念無常の響きあれ
    娑羅双樹の花の色 無念無常の響きあれ


囃子  ジャンジャラ ジャラララン ジャン ジャララン

シテ  「歯も抜けそうな海の旅。海行かば水浮くかばね、なまあんだ。
    山行かば草むすかばね。なもあみおだぶつ、なまあんだ。

囃子  シャンシャラ シャラララン シャン シャララン

ワキ  「平家の蟹がひぐらしとぶらう水の底。
    なんで恐るる事やある。などてたゆたう事やある。

地   ぎゃていぎゃてい はらぎゃてい
    かなかなかなかな ひゅーるる るるんっぱ

囃子  ジャンジャラ ジャラララン ジャン ジャララン
    シャンシャラ シャラララン シャン シャララン

                幕
| 能楽詩集 | 01:26 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
男 鹿
男 鹿(おじか)
     シテ/おせん 所/タペストリーのある小部屋



地    春咲く花はあるけれど 清き袂へかないたる
     いとしき人は 春がすみ

シテ 「あの日かわした言問の、三ッの約束お約束。
     言問団子(ことといだんご)の白よ、黄よ、黒よ。

地   ダンゴに誓いし ひとつの気持ち
    ふたりならんで 緋の毛氈の
    赤いころもにつつまれて(イョ)
    一つ白きは まごころの
    二つ黄いろは 優しさの
    三つ黒いは 粋ごのみ

シテ 「十字に組んだ、串に誓いし三ッの約束お約束。
    言問団子の白よ、黄よ、黒よ。
 
地   なのにいまでは ひとりぼち
    暗いお部屋の 寝台で
    しんと静かに 思うてみても
    いとしき人は 春がすみ

シテ 「ふたりで飾った、壁の子鹿のタペストリーも
    憂きこころねで、鳴いている。 

囃子  ホロロン ホロロン ケントンチャン
    ティトティト ホロン ケントンチャン

シテ 「清き袂へかないたる、いとしき男(お)の子は。

地   ありゃ 見当はずれの嘘っぺ男の子
    まだら鹿の子よ えせ男鹿びと
    十字に組んで重ねた言問の愛(イョ)
    あの日 あの時 あながって
    串のかんざし ゆれている
    串のかんざし ゆれている 

                幕
| 能楽詩集 | 18:55 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
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