CALENDAR
S M T W T F S
 123456
78910111213
14151617181920
21222324252627
28293031   
<< October 2018 >>
ARCHIVES
CATEGORIES
MOBILE
qrcode
イリアス・オデュッセイア/丸い眼が一つだけの巨人キュクロプス


へーパイストスという鍛冶職人は自由自在に歩くことのできる真鍮製のロボットを造った天才で、一つ目巨人キュクロプスはこの親方の弟子となって、その工房でいろんなことを学んだ。彼はすでに独立して、いまはシチリア島の近くに住んでいた。オデュッセウスはトロイア戦争の帰路、この島へどうしても立寄ってみたかった。世界を二分するほどの原因をつくった美女へレネの秘密を証しておきたかったからである。キュクロプスはキュクロプスで、オデュッセウスがこの島へやってくることを兄のポセイドンからすでに聞き知っていた。

オデュッセウスはさっそくに、美女へレネは機械仕掛けのからくり人形ではなかったのか・・・とキュクロプスにたづねた。すると一つ目をウインクしながら「おまえが持っている白金の、そのペーパーナイフをおれにくれたら教えてやろう」といった。そこでオデュッセウスは左腕のホルダーにつけておいた匕首をさしだした。光だけはりっぱだったのでキュクロプスはよろこんで、すぐにヘレネの秘密をしゃべった。

あれはおれの造ったものではなく、お師匠さんである親方のへーパイストスが造った自動人形で、未来的なイブなんだといった。では、“いのち”の始末はどうすればいいのだとたづねると、キュクロプスは丸いおおきな目玉をぱちぱちさせて、さっき手に入れたナイフを二三度ほど噛むと、まっ赤な顔をして怒りだした。革新素材のステンレス製だとばかりおもっていたナイフがへにゃちょこなブリキ製であることを見やぶったからである。肝心な謎を聞きだせないまま、あとは逃げるが勝ちとばかりにオデュッセウスはその島を逃げだした。老いたキュクロプスは四角い紙切れにスケッチしておいた火炎放射器の操作図面をみつめながら、まだ若やいでいるレーザー光線のような火焔をオデュッセウスの船にめがけてプーッと吐いてみせた。(ぼくのイリアス・オデュッセイアより、絵は「丸い眼が一つだけの巨人キュクロプス」 2018)





| 贋作ギリシャ絵物語 | 14:34 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
イリアス・オデュッセイア/復讐女神エリニュスの島


投げた槍がトロイアの喉元へ当たれば地中海の覇者になれると踏んで旅にでたその男は、テキ屋まがいの家業で一世を風靡したが、故郷へ帰ることもできず、海に浮かんだちゃぶ台のような小島を点々と彷徨いつづけていた。大親分のアガメムノン大王も、舎弟も、鉄砲玉の子分たちも死んでしまって、いまはひとり船をこぎすすめながら帆を操って生きのびていた。

そんなある日、海の真中をいっぴきの蠅が飛んでいくのを見つけた男はポンと膝をたたいて、金色にかがやいた大きな蠅のあとを追った。運よく、イドラ島へ辿りついた。が、ところで、さてさて、頭脳明晰な現代人のあなたは思うであろう・・・この島はその男の神話伝説には登場しないと。しかしながら19世紀末に古代のごみ捨て場からみつかったオクシュリュンコス・パピルスの文書には「復讐女神エリニュスの島」とおぼろ記されてあったのだ。復讐女神エリニュスとは親を殺したり偽りの誓いをする罪にたいして復讐をする女神として知られているが、数は不定で三女神とも多数神とも呼ばれていた。話をもとへ戻し・・・

男はなにも知らずその島へ上陸すると、うすももいろにふくらんだラフレシアのような肉体をもった女がごつごつした岩のてっぺんに横たわっていて、混沌という名のカクテルを飲んでいた。聞けば、ミケーネのアルゴスからイドラまで南下したばかりだったので喉が渇いたといいながら、さっきの蠅の正体はわたしだと挨拶した。男も挨拶すると、女神は「ペーパーナイフ投げ師オデュッセウスのことならなんでも知っているよ」といって笑った。それから、アガメムノン大王を殺害した王妃と情夫に復讐すべく、姉エレクトラとともに実の母親とその情夫を殺して仇を討った弟オレステスにグロテスクな呪いをいまかけてきたばかりだといって、また笑った。(ぼくのイリアス・オデュッセイアより、絵は「オデュッセウスとラフレシア」2018)






| 贋作ギリシャ絵物語 | 15:06 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
YOUNG APHRODITES/春のめざめ


演劇部だったころ部長の Iと映画研究部を立ち上げて部費を稼いだ。
やがてミイラ採りがミイラになるがごとく、他校の学生らと組んで映画ばかり撮っていた。
ゴダール風が多かったかもしれないが、そのころ、ぼくはギリシャ映画『YOUNG APHRODITES』が大好きだった。

あるとき役者をやるはめとなりScene13を撮ったが、その後、ぼくはスキーをしに冬山へ行った。
天気は上々、楽しかったが、帰ってくるとScene13の撮り直しとなった。

毛布の中へ入っていく男、(もだえる女)、毛布から出てくる男。
普通だった男が毛布から出てくると陽に焼けたメガネザルで、再撮影は春先となった。

       *  *  *

下記は、邦題〈春のめざめ〉へ寄せた谷川俊太郎氏の詩です。

愛ということばが生まれようとしている
クローエの息のなかから

心と体がわかれようとしている
クローエの乳房のしたで

海辺の村の愛のあけぼの・・・
その潮騒はいまにつづいて

少女のなかに今日も二羽の鳥がいる
殺された鳥と 放たれた鳥と


https://www.youtube.com/watch?v=wmk3RBOSXX4

ギリシャ映画「Young Aphrodites」のテーマソングです。
ジョン・マルコポウロス作曲のフルートにいかれてました。






| 日々是好日 | 22:52 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
Manos Hadjidakis


学生だったとき友人とともにギリシャ大使館へ行ってわけてもらったマノス・ハジダキスのLP。カセットにはとっておいたけど、LPはいつのまにか行方不明・・・けど、こうして聞けることがありがたい。


https://www.youtube.com/watch?v=gKJCF8eqX3w





| 日々是好日 | 09:50 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
イリアス・オデュッセイア/カリュプソは初戀の味



うつらうつらとして、これは夏の昼寝でみた夢だろうか・・・。さっき二人して飲んだ白いカルピスはもうどこにも出口のない蜜の味がしていた。蜜は甘苦く、初恋の味であった。それがペネロペイアとのものであったかそばにいるこいびととのものであったかすらわからないでいる。そんな自分のからだをみつめながら、オデュッセウスはザクロいろしたこいびとの裸の丘のうなじへ登って、今日も遠い水平線の裏側ばかりをのぞき込んでいた。

光や風がぴゅうぴゅう騒いでいる北回帰線の振動にあぶられて、オデュッセウスは休息のふかみからのがれたいと願っていた。

「こいびとよ! おれはおまえとのここちよい蜜月の打撃からのがれて、にんげんの女が住んでいる故郷へ還らなくてはならない。だっておれは赤い血が流れているにんげんだし、その女ペネロペイアは初恋の人なのだから」

するとドルフィンのようにしなやかだったニンフ・カリュプソのからだがわなわなとふるえだし、腰につけていた花の甘いひだが二人のうえで弧をえがいたかとおもうと、気丈夫にほほえんだ帆をいっぱいに孕んでみせて夢のように美しい船を一艘かたちづくってくれた。(ぼくのイリアス・オデュッセイアより、絵は「カリュプソは初戀の味」2018)






| 贋作ギリシャ絵物語 | 19:07 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
イリアス・オデュッセイア/木馬より花を


チビ助だったころの琥珀を描いてみました。

“身内”を描くのははじめてです。

オデュッセウスの愛犬アルゴスにあやかって、凪渚にて彼におんぶされています。ついでにお話も書いてみました。よかったら読んで下さい。


         *   *   *


むかしのむかし、つぎの王になるための試練として黒海の奥地へ金の羊毛をさがしにいった若者がいた。名をイヤソーンといって、その苦難の冒険をアルゴナウティカという。船大工アルゴスのつくった船アルゴ号にちなんだ物語だった。ほかにアルゴスと呼れるものに、千の眼をもつ巨人がいた。

たぶんそれらから、ご主人のオデュッセウスはぼくのことをアルゴスと呼んだ。

オデュッセウスは小さな島の王であったが、このたびのトロイア戦でギリシャ随一の王になろうとしていた。けれども、じっさいはアルゴナウティカの辿りなおしをしながら20年の歳月を危険にみちた海の上をさまよわなければならなかった。そんな苦難と野心にみちたむごい戦争をさけるため、ぼくは船出の風を止めたのだった。アルゴスという名前をつけられたとたん、千の眼の力を得たからだった。しかしぼくは仔犬だったから、凪はそうながくつづかなかった。(ぼくのイリアス・オデュッセイアより、絵は「凪渚のオデュッセウス」2018)





| 贋作ギリシャ絵物語 | 08:39 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
オデュッセイア乃至エレクトラ


この夏の酷暑、ホメロスの『オデュッセイア』に関する資料をちょびちょびと読んでいる。思慮分別に欠けたギリシャ軍の総帥アガメムノーン王が鼻につく。王はトロイアから帰還して喜びの絶頂にあったところを王妃クリュタイムネストラとその愛人アイギストスによって殺害されるが、なぜにか妙にうなづけた。と同時に、むかしATGで観た『エレクトラ』のパンフを本箱の底から拾い上げながら読んでみていると、イレーネ・パパスの鷹のように高貴な眼差しや悔恨の苦悩を思いだす。エレクトラはアガメムノーン王と王妃のあいだにできた王女であり、実父の復讐のため実母を殺してしまう。その復仇の悔恨はギリシャ悲劇と呼ばれているが、資料の中に「琥珀の道」というのがあって、ギリシャ語では琥珀のことを「エレークトロン」といい、母親殺しのエレクトラの名も同義とのことであった。

なるほど、ボクの愛犬琥珀は“エレクトラ”なんだと知って、すがすがしい暗さのなかでマイケル・カコヤニス監督の冷たくも恐ろしい『エレクトラ』をまた観れたらいいなとネジを巻く。

2018 猛暑お見舞い申し上げます!






| 日々是好日 | 08:53 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
アウゲンブリック


未来と過去のはざまにて、どこかで一瞬!ぷんと匂った花の気配を求め、そのいのちの在処をさがしてみても見つからず、ついには見失ってしまうことが多い。このことは花にかぎったことではなく、いのちとはことごとくそのようなものではないだろうか。

夏の木漏れ日をぬって歩く犬の背中を撫でてゆく風の輝きを握りしめることはできない。脆く、せつなく、甘く、儚い感覚だけが上辷りしてゆく。そんな上辷りしている「幻」の正体を描ければと思うことがあるが、それは夢のまた夢、なにをどう表現すればいいのか分からないまま刹那をただ漫然と生かされている、


今日このごろの、虚無を生ききる。





| 日々是好日 | 13:50 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
花へ至ル道


紅に対して白牡丹はなかなか咲かずヒヤヒヤしましたが、そのとき一緒に買ったカサブランカが昨日咲いてくれました。五月連休のころ、小指の先ほどの蕾を六個つけてくれましたが、蕾は大きくならず、なかば諦めていただけにホッとしました。

六つの蕾はどれも立派です。

暗い街角や公園の片隅にて赤の他人どうしが無言のまま群れて立ち止まりながら携帯を覗き込み、なにやら“捜物”をしている。また、乳母車に乗った乳児が端末器をおもちゃにするこの時代。花から多くを学びました。

土のなかで眠ったままいつ咲くかわからない植物は、ゆっくりじっくりとその時期がくるまで焦らずにいる。そして風を感じ、光や雨を感じながら満を持して堂々と咲きはじめだす。途中でもし折れても枯れてもそれを受け入れるしかないリアル・・・機械とはひと味違った“いのち”のありようからボクはたくさんの勇気や自信をもらった。






| 日々是好日 | 10:14 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
雨と宗達



雨の日は
ぼくの行手には
いつでも
宗達が

じっと待っていてくれる





| 日々是好日 | 20:46 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
| 1/120PAGES | >>