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世界の静かな中心であれ Vol;013




世界の静かな中心であれ


   ミイラにダンスを踊らせた「ウジャトの眼タンゴ楽団」一座

ちょっと長ったらしいタイトルですが、エジプト神話のイシス女神を座長とした旅の楽団が、月夜の砂漠で一服しながらとぐろを巻いています。楽団は画家キリコが描く貨車のような屋根の上で思いおもいの音を奏でています。ジプシー・ワゴンのような貨車はファラオの石棺が納められている厨子そのもので、夜空の青い包容が切なすぎたせいでしょうか、ファラオの王棺をうっかり開けてしまいました。

死者を蘇らせることはタブーで忌み嫌われていますが、絵には「絵空事」という都合のいいことばがありますし、日本には死者との対話を美しい芸能にまで高めた能があります。

そんな小さな能舞台をコバルト色の砂漠に見立てながら、蛇腹の手風琴(バンドネオン)を主とした楽団がビートのきいたビプラートで風のようなイキを吹きかけ、ファラオのミイラを青いセラピーの力を駆使しながら蘇らせようとしています。はたして、少年王ファラオは復活のタンゴを踊れるのだろうか・・・




http://www.the-noh.com/jp/people/essay/002michihico.html






| 花鳥風月虹の詩歌 | 20:19 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
世界の静かな中心であれ Vol;012


世界の静かな中心であれ
「花と水のセラピー」


つい先日までぴょんぴょんと跳ね回っていた子犬があっという間にぼく自身の年齢を超えてしまい、よたよた歩いている姿を毎朝じっと眺めながら散歩していると、自然、いろんなことが見えてきます。それが花であれば一瞬にして、ものの“いのち”の有様がそこにちゃんと整理整頓されて
いるようでなりません。

そんなことを考えているうち、エジプトの死生観や、標本箱にならんだような格好をしたヒエログリフが気になってしまいました。

天の女神のお腹から産まれた太陽神ラーは西の方にある口へむかって移動しながらその口へ入り、やがて体内をぬけて東の下腹部へと至り、朝、そのお腹からまた産みだされます。このくりかえしは「死者の書」のなかの死と再生の復活劇に適合していますが、バラバラにされたオシリスの身体をイシスがナイル川から一つづつ拾っては再生していったという神話とも重なりあって、エジプトの死生観をよく表していると思います。

昼の聖船や夜の聖船、空気(風)と水のはなしも好きですが、セラピストとしてのイシスの魔力だけはいつか金屏風の破れ穴からでもそっと覗いて見たいものです。この絵は、そんな花と水のものがたりです。







| 花鳥風月虹の詩歌 | 17:44 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
世界の静かな中心であれ Vol;011


世界の静かな中心であれ
    「夜と息(ポレン)」2017



アウシュビッツから生還した心理学者の手記「夜と霧」は背筋が冷たくなるようなホロコーストの記録ですが、ぼくの「夜と息(ポレン)」はのんきな絵です。

板橋区にある都立赤塚公園の周辺には武蔵野崖線がまだ多少残っていて、そこに咲いている野草をながめているうち、植物の手入れなどをしている環境ボランティア「みどりの手」の手伝いをするようになりました。春の妖精ニリンソウも終わって、これからの季節はヤマユリが咲きます。しかし、美しさのあまりに根こそぎ盗まれることもあり、今年は二、三本を確認する程度です。

そんなヤマユリの花心に鼻面を近づけたりしながらクンクンやっていると、遠い夏の日のことを思い出します。一の谷、二の谷、三の谷を超えたところに沢があって、その先に洞窟があり、ぼくたちはそれをマンボウと呼んでいましたが、そのマンボウを素足でじゃぶじゃぶ歩いていると、水の匂いとまざりあっていい匂いがしました。強い香りを放つ花がきっとどこかで咲いていたのでしょう。

甘くなまめかしいヤマユリは、この夏、だれからも穢されずにぼくを待っていてくれるだろうか。






| 花鳥風月虹の詩歌 | 22:05 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
水族館劇場の同胞たち


久しぶりの花園神社で
久しぶりの友だちと
久しぶりに……
この世のような夢ごこちで
水族館劇場へと赴く

ものめずらしき劇場の目撃者たちは
だれもが銀の背中をもった水陸両用者となり
しらずしらずのうち
平ら成る劇場から古代へと
古代の海へと回遊しだす

あたかも海草が密集をする襤褸の子宮の中にて
禿げかかった子どもたちは受粉し
観るもののねじれを正す

イチニイサンシィ
イチニイサンシィ

ゴォロク 七匹 八匹と




| 日々是好日 | 00:11 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
世界の静かな中心であれ Vol;010


いやはての
少年るろう王「白あざみ、断章」Vol;010



たんぽぽの
たねさんが
かぜにふかれて
とんでゆく
ぼくもあんなにとべたなら
じゆうにおそらがとべたなら
このたたかいのきおくから
わすれたうたをおもいだす
うつろなるやまやまの
みずきよきふるさとよ
こぼれゆけ
こぼれゆけ
ひかりのなかで





| 花鳥風月虹の詩歌 | 12:54 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
世界の静かな中心であれ Vol;009


輪 華
少年るろう王「白あざみ、断章」Vol;009



ある朝、タケルはおかあさんの鏡台にむかって座っていました。おかあさんは、「鏡はじぶんの姿を教えてくれる大切なものですから、いつも磨いてカバーをかけておくものですよ。」と、よくいっていました。ですから、赤い花柄の布を開くときはどきどきしましたが、いまはへいちゃらです。あちこちの引き出しを開けたり、じぶんの顔を映したりしていましたが、とうとう眉墨をみつけだし、いたずらをしはじめました。モミアゲをふとく描いたり、ヒゲをどんどん描いていきました。これは前からいちどやってみたかったことで、もうりっぱな英雄です。いさましい心の状態を鏡にみとめてもらいたくって、タケルは腕を組んだり、胸をグッと張ってみました。

「ばぁ〜か。」

鏡のなかで兄が笑いました。
タケルはカッとなって、さっきまでの“英雄”からあまのじゃくの鬼ッ子になり、引き出しにあったナイフで兄を殺してしまいました。あんなに輝いていた鏡は、心は、古い銅鏡のようにみるみると錆びていきます。おそろしくなって、タケルは家を飛び出しました。

丘にのぼって泣いていると、「ぽとり。」と音がしました。花の落ちる音です。眉墨でぐしゃぐしゃになった顔を音のしたほうへむけると、あちこちにつばきが落ちていました。さっき落ちたばかりの美しいのや、枯れてうす汚れたもの、人に踏まれてぺしゃんこになっているものや固いタネがぱらぱらと散らばっています。

「りんねてんしょう。生きて、朽ちて、また蘇れ。」

さっきじぶんが殺してしまった兄、兄はどのようなものに生まれかわるのだろうか・・・じぶんはゴミムシだとおもったが、このとき、白鳥に生まれ変わることをタケルはまだ知らなかった。





| 花鳥風月虹の詩歌 | 21:26 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
ニリンソウ観察Day


冬の名残としては艶やかな薮椿の下で、ニリンソウが咲きはじめました。ジロボウエンゴサク、セントウソウ、ムラサキケマン、ヒメオドリコソウなど、いろいろ咲いていました。2〜30年もの間ウワミズザクラを観察してきた方がおっしゃいました。「今年になって、ようやく沢山の花(ウワミズザクラ)を咲かせた」と、人もそうありたいなと笑いあいました。




都立赤塚公園付近でのニリンソウ観察Dayは4月9日(日)です。その頃にはもっと多くの花々が咲いているでしょう。この日、お手伝いします。たのしみです。(^_^)


■問合わせ;03-3938-5715 赤塚公園サービスセンター





| 日々是好日 | 14:31 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
世界の静かな中心であれ Vol;008


世界の静かなド真中であれ    
少年るろう王「白あざみ、断章」Vol;008



その男Mは黒い学生服の第一ボタンをいつも外していた。ワザとではない。胸板が厚すぎたのと、学生服のサイズが人並みであったからなんだ。したがって、両腕は鳥が空を飛ぶかのごとくにハの字の格好をしながらも、両の拳はしっかりと握られていて、いつでもひとりぼっちで歩いていた。

学園の校庭の隅には小川が流れていた。その小川にそって、巨人兵のように背の高いポプラの樹がずらっと並んでいて、Mはその樹の下をよく歩いていた。三つほど先輩だったから、わたしがやっと高校生になったとき、Mの姿を見つけることはできなかった。

その後わたしはデザインの勉強のために上京し、やがて、デザイナーとなった。最初に務めた会社は四谷本塩町自衛隊正門前の眼前にあったが、その日は朝からヘリコプターの音がうるさくてならなかった。それでも仕事に追われながら一日はどうにか終わったが、翌朝、朝刊をみてびっくりした。全面黒々としている新聞に、作家三島由紀夫とともに先輩Mの名前が刷られてあって、割腹自殺したという文字が踊っていた。

ワッ! 世界の静かなド真中であれ・・・しばらくして、わたしはその会社を辞めた。







| 花鳥風月虹の詩歌 | 14:19 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
世界の静かな中心であれ Vol;007


フランダースの草原にて      
少年るろう王「白あざみ、断章」Vol;007



異国の野に赤いケシ畑があると聞く
フランダースの草原で満開になった赤いケシの花
戦争で死んでいった兵士たちの血の色なんだ
「ぼくらはこの地上に生きていた」と
雨が 雪が 風が知っている
人々からは忘れさられたケシの花だったが
いのちの種は闇から光へとのびて
長く冷たい夜の眠りから目を覚ます
殻を砕き 花を咲かせる


雲が 霧が 虹が知っていた
そのことを 一匹の蛇が知っていた

蛇は自分のちいさな甲冑(うろこ)を脱ぎすてて
すっくと立ち上がりながら
赤い花々に挨拶をする
「ぼくの恋人よ」と
すると花々が
眼には見えぬものごとを悟り知る者よ
花々は「イェイツ」と蛇に渾名して
フランダースの草原にて三つの星を指し示す
朽ちて 果てて 蘇れ と






| 花鳥風月虹の詩歌 | 16:18 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
世界の静かな中心であれ Vol;006


堕天使イカルス      
少年るろう王「白あざみ、断章」Vol;006



陽はすっかり沈んでしまったが、目的地へはまだ着けそうもない。急がば回れという戒めをわすれ、近道しなければと思ってこの山道を選んだ。ところが先へいけば行くほど真っ暗になって、さっきからもうずいぶん走ってきたのに対向車にはまだ一度も出会っていない。心細くなったが、オートバイはわたしなんかよりよほど利口に造られていて、行くべきところへ行こうとしていた。エンジンは狼のようにガオガオと唸り、気化器は生きもののような息づかいをしながらクスクスと笑い歌っている。耳をすませば楽しくなって、アクセルをまた元気いっぱいに開いた・・・

あれは遠いむかしだったろうか。

生駒山の上から大阪の夜景を眺めたことがある。ひろびろした地平線いっぱいに点在する街の明かりが色とりどりな糸で織られた魔法の絨毯のように美しく輝いていた。それはまるで、夜にみる夢の中の青空をいつもぬりつぶしてしまう満天の星々のようであって、煌めきはこの世とあの世を往き迷うわたし自身のnegaがぬっと現れでたかのようなザワメキをもって光っていた。

空に浮くものが堕天使のように焼かれながらこの地上へ落ちなければならなかったとき、イカロスの眼に映った自身の影の明るさとは、ざっとそのような黒さであったろうか。(堕天使イカルス)






| 花鳥風月虹の詩歌 | 22:49 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
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